本の感想

「色弱の子どもがわかる本」(岡部正隆監修)と色弱の遺伝について

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色弱に関する本を読みました。
色弱にもいろいろあるようで、見え方の違いでP型D型というのがあるらしいです。男性の5%が何らかの色弱だということで、以外と身近な人がそうだったりします。

実は私も軽い色弱です。
幼い頃から黒板の赤い文字が見づらいと思っていましたが、全く見えないわけではないのでみんなもそうなんだろうだと思っていました。

色弱だと気づいた(指摘された)のは車の免許取得時に行われる色弱検査のときでした。最終試験も通って免許交付のために警察署へ赴いたら目の検査をします。そこでは視力検査の後に、色のついた点々が書かれている冊子を手渡され、書かれている番号を読んでくださいと言われます。点々が書かれているだけだったので、私はどれのことですか?と聞きました。すると色弱ですねと言われました。

よくよく考えたら色弱だと気づくきっかけはいろいろありました。普通に考えたら黒板の赤い字は強調のために書かれるはずで、それが見えづらいのは「普通」ではないですね。

ところで生物というのは不思議なもので、一つの能力が劣っていると他の能力が洗練されるシステムになっているようです。
この本で引用されている研究によれば、色弱のサルは薄暗い場所でより多くの昆虫を取ったという報告があるようです。
色弱な人は色を見分ける能力が劣っていることになるかもしれませんが、その分を補うのに余りある認識能力が洗練されているかもしれません。

色弱の遺伝について

また、色弱は遺伝で伝わるようです。
男性は染色体\( X \)と\( Y \)を持ち、女性は染色体\( X \)を2つ持ちます。この染色体\( X \)に色弱遺伝子が載っているものを\( \bar{X} \)とします。
男性の場合、\( \bar{X} Y \)だと色弱。
女性の場合、\( \bar{X} \bar{X} \)だと色弱で、\( \bar{X} X \)だと正常な保因者
になります。

このとき、保因者の女性が\( x \)の割合存在していたとすると、色弱な人の割合はどうなるでしょうか?\( x \)は小さいとします。

男性は\( Y\)染色体を男性に遺伝させるので、色弱な男性からは息子に遺伝しません。息子が色弱になるには母親から\( \bar{X} \)染色体を受け継ぐ場合だけです。その確率は1/2なので、色弱男性の割合は \( 1/2 \cdot x \)になります。

女性が色弱になるには両親から\( \bar{X} \)染色体を一つづつ受けつづ必要があるので、女性色弱の割合は\( (x / 2) \cdot (1/2) \cdot x \)になります。

ちなみに次世代における女性保因者は、父親正常で母親が保因者の場合と、父親異常で母親正常の場合がありえるので、その割合は\( 1/2 \cdot x + x/2 = x \) で、親世代と同じになります。このため、色弱の方の割合は時代によって変化はしないことがわかります。

この本によると保因者の女性の割合は0.1なので、男性色弱は0.05、つまり5%の男性が色弱だということになります。女性は上の式から0.25%程度になるのでほとんど色弱にならないですね。

40人のクラスで、すべての人間が色弱でない確率はどうなるでしょうか?
20人の男の子だけに注目すれば、それはおよそ
$$(1 – 0.05)^{20} = 0.36.$$
となります。ということはつまりそのクラスには64%の確率で色弱の男の子が存在することになります。クラスに一人は色弱な男の子がいるかもしれません。僕がいたクラスの場合は、それが僕だったということですね。

色弱の判定法について

この本で残念だったのは、色弱かどうかを判定する方法が書かれていなかったことです。じつはそれを期待して買ったのですが。。結局読み終わった後にネットで調べてみましたのでリンクを貼っておきます。
infy [あなたの目は大丈夫!? 色覚異常者はこう見えている!] 
どうやら僕のタイプはこの人とだいたい同じようです。

どのタイプが多くて見え方がどう違うのかもいまいちわかりませんでした。紹介している本では僕よりも重度な子供の例について解説していますが、そういう子供が5%いるということなのか、軽度な人も含めて5%なのか、わかりません。
また、女性の方が、自分が保因者かどうかを調べるJ方法があるのかどうかもわかりません。保因者の方であれば、その方の息子は50%の確率で色覚異常になりますので、気になる方もいるかと思いますが。
この紹介している本は、息子が色覚異常だと判明したときにどう向き合うかということを主に解説しているので、私の目的とは合致していませんでした。
息子さんが変な色をつかって絵を描くなど、気になることがあるかたは医者にかかって検査をし、異常だとわかったときにはこの本をおすすめします。

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