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物理学者への道 – どうやって物理学の研究者になるのか?

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科学者になるのが将来の夢だという小学生や、物理学者にあこがれる中高生、理論物理学の教授を目指す大学生、我が子を研究者にしたい親御さんのために、どうすれば物理学の研究者になれるのか、ということを解説します。

一般的に、大学の教授になるためには、原理的には学歴は必要ありません。教員の資格も必要ありません。しかし、物理学教授に関しては博士号が必須です。
博士号は大学院博士課程を修了すれば取ることができます。そして、博士課程に進学するためには、大学院修士課程を修了して修士号をとる必要があります。
したがって、普通の4年制大学を卒業するときに、大学院を受験して修士課程に進む必要があります。
おそらく普通に大学生活を送っていたら、3年か4年目に就職か大学院進学かという選択を迫られるでしょう。そこで大学院進学を選ぶことになります。

大学院について

以下では最終学歴からさかのぼっていきましょう。
ほとんどの物理学者の最終学歴は、東京大学もしくは京都大学の博士課程卒業です。数は少ないですが、旧七帝大や早稲田慶応で博士号を取った方もいます。

というのも、よい研究者になるためには、大学院に在籍しているときにはすでにある程度研究をしていて、その実力がないといけません。そして、初めて研究を行うときには、所属している研究室の教授や准教授から研究テーマをもらうことになります。
このとき、世界から注目されるようないい研究テーマをもらえないと、なかなか研究者として大成することは難しくなってきます。

そこで、いい研究テーマを持っている教授がいる場所はというと、東大京大に始まる旧七帝大になります。
私立大学では厳しいです。というのも、私立大学の先生は学部の授業で教えなければならない時間数が圧倒的に多く、研究する暇がありません。そのため、私立大学の先生方は(やる気に満ち溢れた着任直後を除いて)ほとんど研究論文を書いていないことが多いです。
そもそも本人が書いていないのですから、学生にいい研究テーマを与えることはできません。
ただし、早稲田慶応は例外で、十分な研究環境がありますし、優秀な研究者が輩出されることがあります。

研究者になるためには推薦書も必要です。推薦書の効力は、推薦者の名声や顔の大きさによります。
そして、推薦書を書いてもらうためには共同研究をしていないといけません。その最も簡単な道は、その人の研究室に配属されることです。
そのような、世界的に名声のあるような先生は有名大学に在籍していますので、そこに入学する必要があるのです。

大学について

大学院の前の学歴はどうでしょうか?卒業大学はだいたい博士課程と同じ大学であることがほとんどです。つまり普通の4年制大学に入学し、その卒業と同時にほぼエスカレーターで同じ大学の大学院課程に入学して修士博士号を取っています。

大学院課程では、他大学から入学してくる方々が半数程度いますが、それらのほとんどは修士号か博士号を取ったときに民間企業に就職してしまいます。
それはおそらく、最終学歴を有名大学にするためだけに大学院に入ったか、途中で物理学の研究に魅力を感じなくなったか、もしくは内部生との実力差を見てあきらめてしまったか、といったという理由でしょう。

東大や京大などのレベルの高い大学に入っていると、周りの学生のレベルが高いです。そして、互いに切磋琢磨して実力を高め合うという環境が自然にできあがっています。
他大学の人と比べた場合、そもそも入学時点での地頭の差に加えて、このような環境によるブーストがあるので、他大学から東大京大の大学院に入学する場合は実力差があることを覚悟しておく必要があります。研究者になりたいなら、入学できればいいということではありません。

中学高校について

では東大京大に入るにはどうしたらいいでしょうか?その最も安全な道は、中学受験で中高一貫の進学校に入ることです。

東大京大のレベルの大学受験では相当な実力が必要ですが、その必修範囲を高校3年間だけで身につけるのは相当難しいです。
中高一貫校であれば、高校の範囲は中学3年のあたりからすでに学ばされます。そして必修範囲は高校2年のあたりで終わります。そのあとは大学受験のための対策をすることができるため、とても有利です。

大学受験のために塾に入る必要があるかというと、それは必須ではありません。
10年ほど前にドラゴン桜という東大受験漫画がはやってから、東大に自力で入るための戦略本や有用な参考書の情報が簡単に得られるようになりました。このおかげで、わざわざ塾に入ってそこで受験のノウハウを学ぶ必要性がほとんどなくなりました。
きちんと情報を得ることができれば、塾に入るメリットは勉強に対する強制力だけと言っていいと思います。

小学校について

では中高一貫の進学校に入るにはどうすればいいでしょうか?それにはなかなかお金がかかります。そもそも中高一貫校はほとんどが私立ですので、授業料が非常に高いです。さらに奨学金など無く、若いので自分のお金もありませんので、親の資金力が必要です。
自分の夢と計画を語り、親を説得しましょう。

話がそれましたが、中高一貫校に入るためには中学受験をする必要があります。それは早めに物心がついて大人レベルの思考力があるか、IQが高くないとなかなか厳しいです。
大学受験のように、ある程度成長して大人になってからの勉強は工夫次第でどうとでもなります。しかし、小学生のような物心がついていない時期に中学受験の問題を解くのはある程度の才能も必要です。
パズルを解くように算数の問題を解けるIQがあるか、心の成長が早くて大人レベルの思考力があるかが重要になります。
後者に関連して、遅生まれが有利です。

小学校は普通の地元の公立でいいと思います。私立小学校に通ったら中学受験に有利かというと、影響は少ないと思います。授業料が高いので、コストパフォーマンスでいったら非常に悪いです。

ただし、3年生か4年生くらいになったら、進学塾に行く必要があります。

幼稚園について

小学校以前はどうでしょうか?幼稚園か保育園かの選択肢がありますが、私はできれば幼稚園がいいと思います。調べていないので正確なことはわかりませんが、幼稚園はある程度の教育を行う場で、保育園は単に子どもを預かる場というイメージです。
知育とはちょっと違いますが、この時期に学ぶことの楽しみを感じることができれば、将来は安泰な気がします。

まとめ

まとめると、物理学者になるための最もオーソドックスな道筋は、

(遅生まれ → 幼稚園 → 普通の公立小学校 →) 3, 4年生から進学塾 → 中学受験 → 中高一貫の進学校 → 大学受験 → 東京大学 or 京都大学 → そのまま大学院修士博士課程卒業 → 研究者へ

となります。途中で道筋を修正することもできますが、それには短期間に多大な努力が必要になってしまいます。それを避けるためにも、早めにこの道筋を知っておくといいと思います。

受験の難易度としては、中学受験 >> 大学受験 >> 大学院受験の順に圧倒的に簡単になっていきます。ですので、最終的にこの道に乗ることは比較的簡単です。しかし、はじめからこの道に乗っている人と比べると、最後のステップ (→研究者へ) を通過することが非常に難しくなります。

私はなんとなく生きていたらこの道の通りにすすんでいました。大学に入ってから物理学者になりたいという気持ちが強くなりましたが、その時点でちゃんんとこの道筋に乗っていたのでラッキーでした。それからは目標に向かって計画的に人生を歩んでいます。

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